Sora no kanata e 『おくりびと』～送る人、送られる人の人生～

『おくりびと』～送る人、送られる人の人生～

人が「死」を迎えるとき、その人の人生がわかる。
そして、周りの人、家族や友人が、その「死」を看取るとき、
感謝して見送るのか、罪悪感で見送るのか。

「死」と向き合うことは、「生き方」と向き合うこと。

仕事柄、「死」と遭遇する機会を幾度か体験し、感じたこと。

それは、

「死を迎える瞬間に、その人の生き様がわかる」　

ということ。

この映画には、納棺師という仕事がでてくる。
亡くなった方を棺に納める前に、体を拭き、衣服を整え、死に化粧をし、
旅立つ準備をする。

これは、ひとつの儀式のようなものだろう。
だが、とても重要なことである。

亡くなった人を尊ぶ気持ちを表すとともに、残された人の心を癒すプロセスでもある。
そして、人生を、生き方を振り返り、学ぶ場所でもある。

そんな重要な仕事なのに、忌み嫌われる。
なぜなのか？

それは、人は「死」というものと向き合うことが怖いからなのだろう。

この映画の中で、納棺師の夫に妻が、「子供に自分の仕事のことを胸を張って言える？」

と聞く場面がある。

子供に胸を張って言えるかどうかは、どんな仕事をしているかではなく、
その仕事に心を込めているかどうかだと思う。

どんな仕事でもである。

これは、普段向き合わない「死」というものをとおして、生き方を振り返ることのできる映画であり、
いろんなことを感じ、そしてとても心に響く映画である。

上映が終了し席を立つと、観客のほとんどが年配の女性だったことがわかり、
「『死』について考えるお年頃なんだろうなあ。」と、しみじみ思ったが、
本当はもっと若い人たちにこそ観て欲しい映画だ。

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